今すぐやめなさい!猫背の知られざる10の真相

頭の重さは、およそ5キロあると言われています。
ところが姿勢が悪くなって、頭が少し前に出てしまうと、
その身体への負担は、15キロ~20キロへと上昇します。
さらに上半身が前かがみになれば、その負担は、腰や
膝にも広がっていきます。
そして悪い姿勢、猫背は筋肉に力を入れ続けている
状態になるため、疲れやすくなります。
猫背を解消することは、身体の疲れを防いでくれるという
役割も果たしてくれます。
正しいスタイルとは、耳の穴、肩、骨盤が一直線になる
状態を指します。
しかし、日常生活を送る上で、その姿を維持することは、とても困難。
身体が本来持っている”チカラ”を発揮するためにも、
間違った猫背の知識を持つのはやめにしましょう。
Contents
■整体マッサージに行っても、猫背はなおらない
整体マッサージで猫背を矯正しようと考えている人は多いようですが、
実際はどうでしょうか。
猫背の解消をうたう整体院やマッサージ店も多いですが、身体の歪みと
痛みは連動しているものと、私たちは錯覚しているところがあります。
背中や肩にコリを覚えたとき、整体院で診察してもらうと、
往々にして「身体が歪んでいますね」とか「コリがあるのは、
歪みが原因です」
といった指摘を受けます。
マッサージをしてもらうと、一時的には痛みも解消されるので、
痛みの原因である歪みも解消されたものと勘違いしてしまいます。
しかし、本当は痛みの原因は、筋肉量の低下にあります。
緊張した筋肉をマッサージで押してあげると、一時的に気持ちよくなる
効果があるかもしれませんが、それだけです。
筋肉を鍛えることにはなりません。ですから、しばらくすれば
痛みがぶり返してしまいます。
だから整体院やマッサージ店では、「定期的に通う」ことを
オススメするわけです。
■姿勢矯正ベルトをつけても、猫背はなおらない
巷では、猫背の悩みを解消する姿勢矯正ベルトが人気のようです。
例えば、「お医者さんが効果を実証!」とか、「肩こり解消やダイエット効果も!」
などのキャッチコピーは、悩んでいる人の関心を引くには十分な効果があります。
姿勢矯正ベルトは、たすき掛けのように肩から腋に斜めに交差した形状となっています。
強制的に肩甲骨を背骨の中心に寄せることで、猫背を解消させようという
仕組みです。
しかし、姿勢矯正ベルトは、猫背の解消にはなりません。
姿勢矯正ベルトには、筋肉をトレーニングする効果はなく、
強制的に肩甲骨を引っ張っているだけです。外した瞬間から
身体が元に戻ってしまうのは明らかです。
肩甲骨と背骨をつないでいるのは、菱形筋という筋肉です。
ですから本来は、この菱形筋を鍛えてあげなくてはいけません。
姿勢矯正ベルトは、肩甲骨を強制的に寄せて取り繕っているに過ぎません。
なので菱形筋はほとんど働かなくなり、むしろこの筋肉の衰えが
加速してしまう怖れがあります。
■ヒールを履くと余計、猫背になるだけ!
「ヒールを履くと背すじが伸びている感じがする」
女性なら、一度はそう思った方が多いのではないでしょうか。
結論から言いますと、これは勘違いです。ヒールを履くと背すじが
伸びるというのは、反り腰の状態を作っているだけなんです。
ヒールを履きますと、かかとだけが引き上げられることになりますから、
当然身体が前方に傾くはずです。
ヒールを履いている人は、無理に腰を反らして、身体を起こすことで、
姿勢を作っているのです。
そして反り腰になるので、おなかが出やすくなるという欠点があります。
さらに椎間板に負担がかかるので、腰痛になりやすいという欠点があります。
健康的な姿勢を維持するには、「コアユニット」を鍛えて、お腹周りに
筋肉をつけ、引き締めるのが唯一の方法です。
*「コアユニット」とは、
腹横筋
肋骨と骨盤に付着し、お腹周りにコルセットのように巻かれている筋肉。
横隔膜
肺の下にある呼吸に関与する膜
骨盤底筋群
尿道や肛門を取り巻く筋肉。
多裂筋
背中の最も深い位置にあり、背骨の両脇に付着して
背骨を支える筋肉。
■猫背と遺伝は無関係
親が猫背だと子供も猫背という親子を見かけることがあります。
だから猫背は遺伝するのではないかと思われている方もいます。
しかし、猫背と遺伝は無関係です。
これはライフスタイルを含めた家庭環境が、子供の成育に
影響を与えることは大いに考えられます。
例えば、親が非活動的な生活をしていて、いつも頭を突き出すような
姿勢でテレビを観ているような場合、
その環境に育った子供も同じような姿勢を取る可能性は、
充分にあります。
肥満に関しても同様です。親が肥満の場合は、子供も
肥満のケースが多い傾向にあります。
親が食後に甘いものを食べながらテレビを観る
習慣を持つ家庭に育ったら、
子供も当然同じ習慣を身に付けて、太りやすくなることはあるでしょう。
その子供が結婚して、子供が生まれたとき、同じライフスタイルが
受け継がれていくことは、可能性としては考えられなくない話です。
そういうことを勘違いして、猫背も遺伝と関係があるのでは?
と思うことは、あまり意味がありません。
姿勢は筋肉で作られていますから、自分の努力次第で
いくらでも改善できます。
■大胸筋を鍛えすぎると、猫背になる
ボディビルをやっている人は猫背になりやすいという
例からもわかるように、
胸の筋肉は、年齢と共に硬くなっていきます。
大胸筋を鍛えると、見た目にもたくましい印象があるので、
スポーツクラブへ行っても、大体の男性は胸の筋トレをします。
しかし、胸の筋肉ばかり鍛えていると、
筋肉は硬くなっていき、肩関節が前のほうに引っ張られていきます。
ですからボディビルをやっている人に猫背の人が多いのは、
当然のことなのです。
女性の場合は、猫背になると胸が閉じてしまい、
バストの位置が下がります。
詳しくは後述しますが、腕立て伏せをしてもバストアップの
効果は得られないのが実情です。
猫背の解消には、肩甲骨を背骨のほうに引き寄せる
背中側の筋肉も鍛える必要があります。
私たちは、普段パソコンや料理など、両腕を前にした動作を行っている
時間が長く、常に大胸筋を縮めている生活を送っていますので、
意識して、背中のストレッチなどをして筋肉を柔らかく
しておく必要があります。
■正しい姿勢=猫背にならない?
よく猫背を解消するのに、正しい姿勢が大切だと言いますが、
正しい姿勢=ナチュラルカーブでなくてもいいんです。
ここで正しい姿勢の定義ですが、人間の身体には、約200個の
骨から構成されています。
この骨と骨とがつながっている関節に過剰な負担がかかると、
痛みが伴いますから、これは悪い姿勢であると言えます。
ですから、正しい姿勢とは、関節への負担が最小となる姿勢で、
逆に悪い姿勢とは、関節への負担がかかり、
痛みなどを伴う姿勢と言えます。
■身体のゆがみ=猫背の原因?
私たちが普通に生活しているだけでも、姿勢は崩れていきます。
例えば、脚を伸ばして寝ていると、腰椎のカーブが崩れ、椎間板に
負担がかかります。
横になって寝続けても、重力の働きによって、背骨は
寝床の方向へとずれていきます。
ですから睡眠中に寝返りを打つのも当然なわけなんです。
寝返りとは、背骨が本来の並びを失うことで、
筋肉の一部が圧迫されたとき、それを解消しようとする
自然の欲求から起こるのです。
こうしてどんな人でも、仕事や日常生活を通じて何らかの
動作を続けていますから、その動作に応じた骨格が
作られていくわけです。
ですから決してゆがみそのものが悪いわけではありません。
本当の問題は、筋肉量の低下です。
人間の筋肉量は、20歳前後をピークに、意識的に身体を
動かさなければ着実に減ってきます。
疲れや痛みを感じると、生活の中での活動量が落ちてきて、
ますます筋肉の衰えに拍車がかかります。
■背すじを伸ばしても、猫背の解消にはならない
猫背が作られる仕組みというのは、背骨を支える筋肉(多裂筋)が
部分的に強化されたり、かたまったりすることで、
S字カーブのバランスがしだいに崩れていくことなんです。
猫背の人は、加齢とともに筋肉量が低下してくると、
今までの背骨のカーブを支えきれなくなり、
痛みや疲れを感じるようになります。
猫背の人が、背すじを無理に伸ばすことでナチュラルカーブを
取り戻そうとしたらどうなるでしょうか。
私たちが背すじを伸ばす時に主に使うのは、
身体の表面近くにある筋肉です。
筋肉量が低下しているにもかかわらず、身体の表面近くの
筋肉のチカラで姿勢を変えることになります。
この筋肉は、酸素とエネルギーをたくさん消費しますから、
すぐに疲れてしまいます。
長時間、背すじを伸ばし続けることは不可能です。
結局、疲れて横になってしまったり、集中力がなくなって
仕事の生産性が低下したりと、逆効果になりかねないのです。
■腹筋だけ鍛えても、猫背の解消にはならない
腹筋運動ばかりしていると、どんどん猫背になっていきます。
一般的に腹筋運動といえば、仰向けになって両膝を立てて
起き上がる、「シットアップ」と呼ばれる運動をさします。
この「シットアップ」を続けると、腹直筋という筋肉が鍛えられます。
腹直筋は、「腹筋が割れている」などと表現するときの、
割れている部分の筋肉を指します。
腹直筋は肋骨の下と恥骨の間に位置しており、腹筋運動をして
鍛えられると、肋骨と恥骨を同時に引っ張って距離を近づけます。
ですから、腹筋運動のみをすればするほど、背中が丸くなり、
猫背になってしまうというわけです。
腹筋運動をして腹直筋を鍛えても、「コアユニット」を
鍛えたことにはなりませんし、姿勢を良くする効果もありません。
やはり腹直筋を鍛えるのであれば、同時に背筋や「コアユニット」も
鍛える必要があると言うことです。
実際スポーツクラブへ行き、筋トレをしているとわかりますが、
猫背を解消するには、背中の筋肉を鍛えることは必須です。
そして身体の表面の筋肉ばかりでなく、内部の筋肉も
鍛えることも大切です。
■腕立て伏せをしてもバストアップの効果は得られない?
猫背は見た目の老いも加速させるので、筋肉を柔らかくして
美姿勢になりましょう!
腕立て伏せをしてもバストアップの効果は得られないのは、
菱形筋が弱くなってしまっているためです。
姿勢が悪いと、プロポーションにも身体の機能にも
マイナスです。
ここで女性にも簡単にできるエクササイズを紹介します。
①大胸筋のストレッチ
壁に対し横向きに立ち、右の手のひらを壁につけます。
身体を左にひねるように意識します。
反対側も同様にします。
②菱形筋のストレッチ
両膝を立てて座り、手は楽な位置に置きます。
そして次に肩甲骨を寄せるように、両肩を後ろに引きます。
このポイントは、硬くなりやすい大胸筋を柔らかくすることと、
左右の肩甲骨を閉じて、背骨に近づける動きを繰り返して、
菱形筋を鍛えることです。