足のトラブル あなたに必要なのは整形外科や皮膚科じゃなくて足病科!

この記事を読むことであなたが得られること!
それは足のトラブル(外反母趾、魚の目、足指の変形、爪水虫、糖尿病合併症、足の痛みなど)は、足病の専門医に診てもらうことが一番。足のトラブルの正しい解消法を知ることができます。
Contents
放っておくと危険な「足のトラブル」を知っていましたか?
一般的には、足のどこかが痛いと整形外科、爪が痛いと皮膚科を皆さん、
受診されるようです。しかし残念ながら、ほとんど治りません。
理由は、日本には、診療科として「足科」がないからです。
例えば外反母趾気味で痛みのある人が、整形外科を受診すると、
ほぼ、こんな感じで医療機関を後にして出てくることでしょう。
「まあ、一応歩けるようだから、痛みもそれほどじゃないみたいだから、
湿布をしておけば良くなりますよ」と言って、
湿布や痛み止めが処方されて終わりです。
確かに湿布をしていると、一時的に治ってしまうことはありますが、
必ずまた痛くなります。
日本の足の医療は、欧米諸国に比べるとかなり遅れています。
それは何故かと言いますと、文化の違いがあります。日本は、
屋内では靴を脱ぐのが普通ですし、屋外でも150年以上前まで
草履や下駄を履いて生活していました。
そのために医学教育の段階から、足を専門に学ぶシステムがありません。
こうしたことから足のトラブルが発生しても、患者さんが満足する
治療にはつながっていないのが現状なわけです。
「足病」と一口に言っても、爪水虫、ガングリオン、関節リウマチ、
魚の目、外反母趾、糖尿病、透析と様々な病気があります。
ここでは、糖尿病が関わっている足病、そして合併症の一つである
下肢切断に至ることについて、詳しくお話しています。
尚、糖尿病や下肢切断以外の足病については、下記の関連記事を
参考にしてください。
関連記事
>>>コチラから
>>>失敗しないための爪水虫、ガングリオン、外反母趾、魚の目、正しい解消法!
糖尿病の足切断が毎年増えていることを知っていましたか?
足病の患者さんの多くは、糖尿病です。その中には透析を受けている患者さんも
いらっしゃいます。2013年のデータですが、透析を受けている患者さんは、
全国で約31万4000人。その中で四肢切断に至る人は、約1万人です。
率にして3.6%ですが、この数字は年々増えています。2009年では
約6500人でしたから、近い将来にはこの2倍の数字になるのではないでしょうか。
また四肢切断に至る新規発生は、透析患者さんの約100人に1人が1年間に
新たに切断されています。
このように足病に関わる糖尿病から透析に至ると足切断という深刻な
症状に見舞われるリスクが高くなってきます。
なぜ糖尿病を放置すると、足切断につながるのか?
糖尿病は合併症が怖いと言われていますが、その具体的な症状には、腎臓、目、
神経があります。これらの合併症に原因に、微小血管障害があります。
腎臓も網膜も神経も微小な血管によって血液が供給されています。その血管の
閉塞によってそれぞれの臓器に栄養や酸素が行き渡らなくなり、障害が生じます。
足病に関係があるのは、神経障害と動脈硬化による動脈血流障害です。
糖尿病になって10年くらいで半数ほどの人に神経障害が起きてきます。
それからまた5年から10年して、太い動脈で血流障害が起きてきます。
糖尿病は、血糖値が高い病気ですが、それが何故神経障害につながるのかと言いますと、
血糖が高くなることで、正常に分解されていない老廃物などが蓄積して、神経細胞
が傷害されること(血糖値が上がると、微細な神経に多糖体がつくから支障をきたします)。
それと微小血管閉塞による神経組織の血流の低下を引き起こし、さらに低酸素
状態によって神経障害の発症・進展が起ることです。
また喫煙や高血圧、脂質異常症も神経障害の進行に関わっていることが
明らかになっています。
足病に関係がある糖尿病性神経障害とは?
まず神経は、感覚神経、自律神経、運動神経に分類されます。
・感覚神経の異常は、ジンジンする、ビリビリするといった知覚異常。
・自律神経の異常は、立ちくらみや汗をかかなくなります。
・運動神経の異常は、ハンマートゥやクロートゥなどの足の変形が発生します。
感覚神経障害で話題になるのが、サンダルを履いて外出した人がサンダルが脱げて
素足で歩いていても自分で気づかないことです。靴が脱げたという感覚がないのです。
ですから、極端な話、画鋲が足に刺さってもわからないのです。
自律神経の場合は、もともと足底には、たくさんの汗腺と皮脂腺という汗や皮脂を出す
線と管があるのですが、この管から汗や皮脂が出なくなるのです。その結果、
足底の角質が硬くなり増殖します。そのため亀裂やひび割れが起りやすくなり、
さらに亀裂から細菌が入って感染症を起こす原因にもなります。
糖尿病性神経障害と怖い足の変形との関係
糖尿病で神経障害が進行し、運動神経に障害が起ると、足周辺の筋肉が萎縮するので
それに伴って足指がハンマーのようになったり(ハンマートゥ)、鉤爪(クロウトゥ)に
なったりします。
また痛みを感じないために骨折してもそのまま気づかずに歩き続けると、
足が変形した状態で固まってしまいます(シャルコー足)。
軽症であれば、装具や靴で対応します。またインソールを使い、足への衝撃を
和らげます。ただ日本人は室内では靴を履きませんので、習慣を変える必要があります。
何故なら、足が変形していると、傷のある部分や圧力の高い部位が直接、床から
さらに圧力を受けて悪化しやすいのです。
ですから屋内用の装具や靴を作成して屋内でも靴を履く必要があります。これは
日本人にはなかなか理解しにくいところなんですが、とても重要なことです。
足病に関係がある動脈血流障害とは?
まず動脈血流障害には、2種類あります。①糖尿病性の微小血管障害と
②動脈硬化による血流障害です。
①糖尿病性の微小血管障害
微小血管障害は全身に起きます。皮膚、筋肉、血管、骨に到達する血流が阻害されます。
微小な血管に多糖体がつくことで、血管が圧迫され、目の場合は網膜が腫れてきます。
腎臓の場合は、糖尿病性腎症となり、軸機能不全を起こして、透析が必要になります。
②動脈硬化による血流障害
動脈が硬化することによって血管が狭くなったり、詰まったりすることで、膝から
下のももや足へ血流が届かなくなるような症状をさします。
これを医学的に虚血と言いますが、こうなると血液が足先へ届かなくなるので、
まず足が冷たくなります。足の皮膚の色が紫色になります。
さらにひどくなると、足趾の壊死を起こす病態のことを末梢動脈疾患(PAD)といいます。
さらに重症化した疾患を重症下肢虚血(CLI)といいます。
足病の診断と特徴
足病には、大きく分けて2つの特徴(①糖尿病の足病と②末梢動脈疾患)があります。
この2つの病気には大きな違いがありますから、早期に診断することが重要になります。
末梢動脈疾患(PAD)は、下肢の血流が悪い場合の症状で、まず冷たいという特徴があり、痛みもすぐに
出始めます。ただ少し休むと血流が回復して、また歩くことができます。これを間欠性跛行と言います。
間欠性跛行というのは、血流が悪いと乳酸や老廃物が溜っても、これを代謝できないため、痛い、
歩けないという状態になるのです。ここで大事なのは、坐骨神経痛と脊柱管狭窄症との区別です。
それぞれ下肢に痛みがあるのは同じですが、
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①間欠性跛行
歩いているうちに足が重くなったり、痛くなったりして歩けなくなる状態です。血流不全で
下肢のふくらはぎなどの筋肉組織に老廃物が溜ったり、酸素が行き渡らないことが原因なので、
少し休息する(かがまなくても大丈夫)と再び歩き始めることができます。
②坐骨神経痛
前かがみになると突然痛みます。尾てい部から太腿内側にかけての痛み。腰・臀部
から足までに感じる痛み。
③脊柱管狭窄症
歩行に関係なく臀部から末梢にかけて走るような痛み、しびれ。かがむと楽になるので、
かがんで休んだら、また歩けるようになります。
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足病の怖さは、間欠性跛行だけでなく、気づかない間に壊疽になってしまうことです。
足病である末梢動脈疾患(PAD)の自分でできる早期発見の検査
簡単にわかる末梢動脈疾患(PAD)の早期発見のための検査方法があります。
①足を上げるだけの検査
血流が悪い場合は、健常者と同じピンク色だった足が、足を上げるだけで白くなります。
血流が悪いと、重力のために血液を足まで送ることができず、白くなっていきます。
そして足を下ろすと、またピンク色に戻ります。
②圧迫検査
足の甲を指で押して放すと、健常者は押された圧力で白くなった部分はすぐに元の色に
戻ります。しかし血流の悪い人は、ずっと白いままです。なかなか元に戻りません。
足病にならないための4つの「予防」対策
足病にならないための予防の考え方には2通りあります。ひとつは、①糖尿病や腎不全
などの生活習慣病にならないようにする、つまり足病にならないための予防と、
②糖尿病や生活習慣病が悪化しないようにする足病の重症化予防です。重症化予防は、
すでに足病の症状があるような人がそれ以上進行しないようにするための予防です。
ここでは、まず足病にならないようにするための予防について、運動、食事、
靴を含むフットケアを中心にお話します。
生活習慣病の予防
一般的に適度な運動は健康によいとされていますが、糖尿病や慢性腎不全などの
生活習慣病の予防にもよいと言われています。患者さんの個別の状況に応じて
運動のメニューは違ってきますが、運動により組織の末梢の隅々に血流が増え、
血管網が発達していきます。血管網が増えると体の組織の隅々まで血液が
供給されます。
筋肉内などの細い血管が太くなって全体に血液の流れが良くなります。
運動すると血糖値を下げる効果があると言われていますから、個別の状況に
応じてメニューを組み立てましょう。
平成28年度の診療報酬改定では、糖尿病性腎症の重症化予防のために、
リハビリテーションを行うことも保険適用として評価されることになりましたので、
医師と相談しながら運動を取り入れていくのも良いと思います。
食事指導の問題点とは?
糖尿病性腎症の食事管理としては、血糖管理はもちろんですが、食塩、カリウム、タンパク質の
制限があります。栄養指導については、管理栄養士に任せている医療施設もあるようです。
それは栄養に興味がある医師が昔よりも増えたという程度で、日本の医学カリキュラムには
栄養学の勉強がありませんから、医師は栄養のことはあまり知りません。
2010年より栄養サポートチーム加算の算定が可能となり、横断的なチーム医療が
一般化しつつありますが、医学教育の現状からまだまだ課題が多いようです。
日常生活における足病予防対策
足病の予防対策として、まず靴の改善が必要ではないでしょうか。オーダーメイドの
靴が一番いいのですが、土踏まずを支持するようなインソールを作ることも大事です。
靴を決める時は、ただ単に大きさ、形、幅などを計測するだけでなく、その人の歩き方
も調べないといけません。体重のかかり方も一人ひとり違うので、これらも調べて
アーチを合わせます。その場合、圧力の加重が分散されているかも考慮します。
また病院の売店などで売っている、軽くて使いやすい靴がありますが、くにゃくにゃに
曲がる靴は良くないです。一般の人には悪くないですが、足の指が硬くなっている
人には良くないです。
なぜなら、足を守ってくれないからです。靴底が硬い靴が必要です。そうじゃないと、
足を守ってくれません。
フットケアとは?
ここではタコと魚の目の対処方法をお話します。タコというのは、糖尿病性で足の
骨が変形してできるものもあれば、圧力によってできるものもあります。いろいろな
原因でタコはできますので、その原因を明らかにして、まずそれをなくすことが
大切です。できたタコを削るだけではダメです。皮膚病の魚の目とは異なり、
糖尿病性の魚の目は、神経障害と関係があります。糖尿病で交感神経が働かなくなる
わけです。足の裏には汗腺と皮脂腺がたくさんあって、汗をすごくかきます。それによって
湿潤が保たれているわけですが、それがなくなるので亀裂が入ったり、カサカサになったり
するわけです。それに対してヤスリをかけたりして、割れづらい皮膚とするのです。
クリームなどの保湿剤を塗るのも良いでしょう。
出典 足病の教科書
この記事のまとめ
足病とは、タコ、爪水虫、魚の目、外反母趾、足指の変形、糖尿病からくる足のトラブルなど
足に関する全ての症状のことをいいます。
これら足病について、ここでは特に糖尿病からくる足切断や検査方法、日頃からの
対策などをお話しています。
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